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IHF、国際審判員育成プログラム「ARTP」を大幅拡張 - 2025年7回のセッション開催

国際ハンドボール連盟(IHF)が審判員の国際レベル向上を目的とした「ARTP(Advanced Referee Training Programme)」の大幅拡張を発表。2025年は合計7回のセッションを予定し、非ヨーロッパ地域の審判員をヨーロッパの1部リーグで14日間研修させる画期的なプログラム。

by Handball.wiki公式

IHF、国際審判員育成プログラム「ARTP」を大幅拡張

国際ハンドボール連盟(IHF)は2025年6月2日、審判員の国際レベル向上を目的とした旗艦プロジェクト「ARTP(Advanced Referee Training Programme)」の大幅な拡張を発表しました。 このプログラムは、エリート審判員や次世代の審判候補生を対象に、理論講義、実技ワークショップ、パフォーマンス分析、個別メンタリングを通じて、プレッシャー下での正確な判断力を鍛えることを目的としています。

ARTPプログラムの目的

  • 国際レベルの審判員の質向上
  • 審判判定のコンシステンシー(一貫性)確保
  • 審判員のプロフェッショナリズム向上
  • 国際大会における審判の標準化と高水準化

プログラムの具体的内容と参加条件

ARTPは非ヨーロッパ地域のIHF登録審判員および候補者を対象とした国際研修プログラムです。 参加者はヨーロッパ各国に最低14日間滞在し、その期間中に最低6試合を担当します。担当する試合は原則として1部リーグで、特別な場合にのみ2部リーグでの審判も認められています。

滞在期間中は、現地のIHF PRC(Playing Rules and Referees Commission)講師や、IHFトップ審判員による指導・監督が行われます。 PRC議長のペール・モルテン・ソーダル氏が各セッションの調整に携わり、プログラム全体の品質管理を担保しています。

2025年のスケジュールと参加予定者

2025年には、5つのナショナル連盟と欧州ハンドボール連盟(EHF)がプログラムへの参加を表明しており、合計7回のセッションが予定されています。

2025年夏季セッション(モンテネグロ)

EHF女子U-17、U-19欧州選手権に合わせて2回のセッションを開催

参加審判員ペア:
  • チュニジア代表:ルア・ハッギー&サハル・ハッギー姉妹ペア
  • ブラジル代表:ブルナ・コレア&レナタ・コレア姉妹ペア

2025年秋季セッション

ヨーロッパのトップリーグで5回のセッションを実施予定。各国連盟と最終調整中。

審判員育成の体系的アプローチ

ARTPでは、単なる技術指導にとどまらず、以下の包括的なトレーニングを提供します:

  • 理論講義:最新ルール解釈と適用方法
  • 実技ワークショップ:実戦的な判定スキル向上
  • パフォーマンス分析:ビデオ分析による審判技術の客観的評価
  • 個別メンタリング:経験豊富な国際審判員による1対1指導
  • メンタルトレーニング:プレッシャー下での冷静な判断力養成

国際ハンドボール界への影響

ARTPプログラムの拡張により、世界各地の審判員が高度なレベルで意見交換やノウハウ共有を行える機会が大幅に増加します。 これは単に個人のスキル向上にとどまらず、世界中の審判基準の底上げと統一化に大きく貢献することが期待されています。

IHFは、このプログラムを通じて競技の公平性と透明性を高め、ハンドボール界全体の発展に寄与することを目指しています。 特に、非ヨーロッパ地域の審判員にヨーロッパの最高レベルのリーグでの経験を積む機会を提供することで、 地域間の審判レベル格差の是正と、真の意味でのグローバル基準の確立を図っています。

今後の展望

ARTPは継続的に拡張される予定で、将来的にはより多くの地域、より多くの審判員が参加できるよう、 プログラムの規模と質の両面での向上が計画されています。これにより、世界選手権やオリンピックといった 最高レベルの国際大会においても、より高品質で一貫性のある審判が実現されることが期待されています。

ハンドボール審判の国際基準統一への取り組み

このプログラムは、ハンドボール競技の国際的な発展において重要な役割を果たします。 異なる地域、異なるリーグで培われた審判技術や判定基準を共有し、統一することで、 どの国のどの大会でも同等の品質の審判サービスを提供することが可能になります。

また、審判員個人にとっても、国際的なネットワークの構築、異文化でのコミュニケーション能力の向上、 そして何より世界最高レベルでの審判経験を積むことができる貴重な機会となっています。

IHFは今回のARTP拡張発表において、「審判の質は競技全体の質を左右する重要な要素である」との認識を改めて示し、 今後もこうした取り組みを継続・拡大していく方針を明確にしました。